
介護施設の送迎業務では、毎日の運転や利用者の送り迎えに関するさまざまな「記録」が必要になります。「どこまで記録を残せばいいのか」「運転日誌は法律で義務なのか」と迷う管理者の方も多いのではないでしょうか。送迎の記録は、日々の安全管理だけでなく、法令への対応や、万が一の事故の際の備えとしても欠かせません。この記事では、介護施設の送迎で残すべき記録の種類と正しい書き方を、運行管理者資格を持つトリニードカイゴが、根拠となる法令とあわせて整理します。
介護施設の送迎で残すべき記録の種類
送迎にまつわる記録には、主に次のようなものがあります。
- 運転日誌(運転日報)
- アルコールチェックの記録
- 車両の日常点検記録
- 送迎時の利用者の状態記録
これらの記録には、(1) 日々の安全運転管理、(2) 法令で義務づけられた対応、(3) 事故やトラブルが起きたときの証拠、という3つの大きな意味があります。順に、書き方のポイントを見ていきましょう。
運転日誌(運転日報)の書き方と法的根拠
運転日誌は、道路交通法施行規則第9条の10に定められた「安全運転管理者の業務」の一つです。同条では、運転者ごとに運転の状況を把握するための日誌を備え付け、運転を終えた運転者に記録させることが義務づけられています。記載すべき項目は、次の4点が基本です。
- 運転者の氏名
- 運転の開始および終了の日時
- 運転した距離
- その他、運転の状況を把握するために必要な事項
ただし、この義務が生じるのは「安全運転管理者の選任が必要な事業所」です。乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用している事業所が対象となります(詳しくは 安全運転管理者の選任義務とは? をご覧ください)。送迎車が少なく選任義務がない施設でも、運転日誌は安全管理や事故対応の面から、残しておくことをおすすめします。
運転日誌は、運転を終えた運転者本人が、その都度記入するのが原則です。後からまとめて書こうとすると記憶があいまいになり、記録の信頼性も下がってしまいます。出発前と帰着後に記入する流れをあらかじめ決め、車内に用紙やタブレットを備えておくと、記録が日々の習慣として定着しやすくなります。
アルコールチェック記録の書き方と保存
飲酒運転の防止のため、安全運転管理者には運転者の酒気帯びの有無を確認し、その結果を記録・保存することが義務づけられています(道路交通法施行規則第9条の10)。記録簿に決まった様式はなく、手書き・Excel・専用システムのいずれでも構いませんが、法令で定められた項目をもれなく残すことが大切です。
主な記載項目は、運転者の氏名、確認した安全運転管理者の氏名、確認の日時、使用する自動車、確認の方法(対面か、それ以外か)、酒気帯びの有無、指示事項などです。これらの記録は1年間の保存が必要です。アルコールチェックそのものの基本は アルコールチェック義務化とは? でも解説しています。
車両点検・利用者の状態も記録に残す
運転に関する記録のほかに、車両と利用者に関する記録も重要です。送迎車の日常点検は道路運送車両法に基づくもので、ブレーキやタイヤ、灯火類などを運行前に確認し、その結果を記録します(デイサービス送迎車の日常点検 を参照)。
あわせて、送迎時の利用者の様子(乗降時の状態、体調の変化、気になった点など)を記録しておくと、事故や急変が起きたときの大切な情報になります。ドライバーの健康確認の記録も含め、「誰が・いつ・何を確認したか」を残しておくことが、結果として施設を守ることにつながります。
なお、利用者に関する記録には個人情報が含まれます。保管する場所や閲覧できる範囲を決めておき、必要のない持ち出しを避けるなど、取り扱いには十分に配慮しましょう。記録の目的は管理を厳しくすることではなく、利用者とドライバー双方の安全を守ることにあります。
記録を「書いて終わり」にしないために
記録は、作成して保管するだけでなく、活用してこそ意味があります。保存期間は、運転日誌やアルコールチェックの記録は法令上いずれも最低1年間ですが、労働基準法では関連書類の保存を3年としているため、3年間保存しておくとより安心です。
また、記録が形だけのものにならないよう、様式は必要な項目に絞って書きやすくし、できる範囲でデジタル化するのも有効です。たまった記録をヒヤリハットの分析や職員教育に活かすことで、送迎の安全性を継続的に高められます。行政の運営指導の際にも、整った記録は施設の姿勢を示す材料になります。
送迎記録の整備・見直しはトリニードカイゴへ
「記録の様式を整えたい」「運営指導に向けて送迎まわりを見直したい」とお考えの施設様は、トリニードカイゴにご相談ください。運行管理者資格と送迎ドライバーの実務経験を持つコンサルタントが、横浜を中心に神奈川県内の介護施設の送迎管理を、現場目線でサポートします。


