
車いすのまま乗車できる福祉車両は送迎に欠かせませんが、固定が不十分だと、走行中の揺れや急ブレーキ、カーブで車いすが動き、利用者の転倒や重大な事故につながりかねません。「うちの固定の仕方は本当に正しいのだろうか」——そう不安を感じる施設管理者の方も少なくありません。本記事では、運行管理者資格と送迎ドライバーの実務経験を持つトリニードカイゴが、車いす固定装置(タイダウンベルト)と乗車用シートベルトの正しい使い方、4点固定の基本手順、日常点検のポイントを、基礎からわかりやすく解説します。
車いすの固定は「車いす」と「利用者」を分けて考える
安全な送迎の第一歩は、固定すべき対象が2つあると理解することです。ひとつは「車いす本体」、もうひとつは「利用者の体」です。この2つは役割が異なり、両方をそれぞれ固定する必要があります。
車いす本体の固定=タイダウンベルト
車いす本体は、タイダウンベルト(ラッシングベルト)で車両の床のレールやアンカーに固定します。前後左右の4本で固定する「4点式」が基本です。
利用者の体の固定=乗車用シートベルト
車いすを固定しても、利用者の体が固定されていなければ安全とはいえません。車いすに付いている簡易的なベルトは移動時のずり落ち防止用で、車両走行中の固定を目的としたものではないのが一般的です。走行中は、車両側に備えられた乗車用シートベルトで、腰と肩をしっかり支えます。
タイダウンベルトによる4点固定の基本手順
タイダウンベルトは、前2本・後ろ2本を、車いすの強度のある金属フレームに掛けて固定します。手すりやアームレスト、フットレストなどの取り外し・可動する部分には掛けないことが大切です。
ベルトを掛けたら、前後・左右のバランスを見ながら、たるみが出ないようにしっかりと張ります。固定後は、車いすを前後左右にゆすってみて、動かないこと・ベルトにたるみがないことを必ず確認します。確実に固定されていないと、走行中に車いすが動き出し、転倒などの重大な事故につながるおそれがあります。
なお、固定装置の使い方は車両や装置によって細部が異なります。必ず各車両・装置の取扱説明書に従って操作してください。
日常点検で見るべきポイント
固定装置は毎日使う消耗品でもあります。次の点を日常点検で確認し、少しでも不良があれば使用せず、交換・修理を行いましょう。
▶ ベルトの状態
ほつれ・擦り切れ・変色・カット(切れ)がないか。傷んだベルトは強度が落ちています。
▶ 巻き取り・バックルの動作
リトラクター(巻き取り)がスムーズに動くか、カムバックルやフックがしっかりロックされるか。
▶ 金具・レール・アンカーの固定
フックや金具の変形・サビ、床側のレールやアンカーに緩み・がたつきがないか。
この点検は、車両の日常点検とあわせて習慣化すると抜け漏れが防げます。詳しくはデイサービス送迎車の日常点検もご覧ください。
安全な送迎体制づくりはトリニードカイゴへ
車いすの固定は、手順を知っているだけでなく、すべてのドライバーが毎回確実に実施できてはじめて意味を持ちます。手順の標準化や、ドライバーへの研修・教育を通じて、施設全体で安全のレベルをそろえていくことが大切です。教育の進め方は送迎ドライバー研修の作り方も参考になります。
トリニードカイゴは、運行管理者資格と送迎ドライバーの実務経験をもとに、横浜を中心に神奈川県内の介護施設の送迎ドライバー管理をサポートしています。車いす固定を含む安全対策や、ドライバー教育の仕組みづくりにお悩みの際は、お気軽にご相談ください。


