
「送迎中に接触事故が起きたが、状況が分からず保険対応に困った」「行政監査で送迎の安全管理体制を問われた」——デイサービス送迎の現場では、事故対応・トラブル対応に加えて、運行記録の客観的な裏づけが求められる場面が増えています。本記事では、運行管理者資格と送迎ドライバー実務経験を持つトリニードカイゴが、介護施設の送迎車にドライブレコーダー(ドラレコ)を導入する際の考え方・選び方・記録活用のポイントを整理してご紹介します。
介護施設の送迎車にドラレコ装着義務はある?
結論から述べると、デイサービスや通所介護施設で使用する送迎車(白ナンバーの自家用車)に対して、ドライブレコーダーの装着を法令で一律義務付けるルールは現時点ではありません。明確に法令で装着が義務付けられているのは、2016年の軽井沢スキーバス事故を受けて義務化された貸切バスなど、ごく限定的な車両に限られます。タクシー・トラックなど他の事業用自動車については、業界団体による自主的な普及推奨が進んでいる段階です。
ただし、義務がないことと「装着しなくてよい」ことはイコールではありません。安全運転管理者制度(道路交通法第74条の3)に基づく安全運転管理者の業務として、運転者への安全指導や運転記録の管理が求められており、ドラレコは客観的な記録手段として極めて有効です。
安全運転管理者の選任義務については、安全運転管理者の選任義務とはの記事もあわせてご参照ください。
介護送迎でドラレコを導入する3つのメリット
①事故時の客観的な証拠確保
送迎中の接触事故・追突・自転車との出会い頭事故などは、当事者の主張が食い違うケースも珍しくありません。ドラレコの映像は保険会社・警察・相手方との交渉において、客観的な事実を示す材料になります。事故対応の手順は送迎中に事故が起きたら?管理者が取るべき対応手順の記事でも詳しく解説しています。
②ドライバー教育・ヒヤリハット共有
運転中の急ブレーキ・急ハンドル・スピード超過などをイベント記録として保存できる機種を使えば、ドライバー個人にフィードバックしやすくなります。「言葉での注意」より、実際の映像を見せたほうが本人も納得しやすく、事故予防に直結します。
③行政監査・利用者ご家族への説明材料
運営指導(旧実地指導)や利用者ご家族からの問い合わせがあったとき、「適切に運行管理を行っている」ことを示すうえで、ドラレコの設置・運用ルールが整備されていること自体が信頼につながります。
介護送迎用ドラレコの選び方
前後カメラ・360度カメラの違い
▶ 前方のみ:価格が抑えられるが、後方の追突・側面の接触は記録できない
▶ 前後2カメラ:あおり運転・追突対応に強い。介護送迎では推奨
▶ 360度カメラ:駐車場での乗降介助シーン・側方も記録できる
解像度・夜間性能・記録時間
ナンバープレートを判別できるFullHD(200万画素)以上が現在の標準です。早朝・夕方の送迎が多いため、HDR・WDR等の夜間補正機能は重要視したいポイントです。SDカードの容量・上書き仕様も事前に確認しておきましょう。
クラウド型・通信機能の有無
近年は事故時に自動でクラウドへ記録を送信するタイプも普及しています。月額費用はかかりますが、事故車両のSDカード破損リスクや、回収の手間を考えると検討価値があります。
記録の取り扱い|個人情報保護への配慮
ドラレコ映像には、利用者ご本人・ご家族・乗降介助の様子・送迎ルート上の第三者など、多くの個人情報が含まれます。施設として管理ルールを整備せずに運用すると、個人情報保護法上の問題に発展しかねません。
✓ 記録の保存期間と廃棄ルールの明文化
✓ 映像の閲覧権限者の限定(管理者・安全運転管理者など)
✓ 利用者・ドライバーへの設置告知(書面交付)
✓ 事故・苦情対応以外の目的外利用の禁止
これらは運営規程・個人情報取扱規程に明記したうえで、ドライバー研修でも周知することが望ましい運用です。研修体系の作り方は送迎ドライバー研修の作り方の記事もご参考ください。
導入後の運用で押さえたいポイント
ドラレコは「付けて終わり」ではなく、運用ルールが整って初めて意味を持ちます。
▶ 月1回以上の記録確認:イベント記録の有無を管理者がチェック
▶ ヒヤリハットの共有会:実映像でドライバー間共有
▶ メンテナンス:レンズ汚れ・SDカードの定期点検(送迎前点検と合わせる)
送迎前の日常点検についてはデイサービス送迎車の日常点検の記事もあわせてご確認ください。
送迎車のドラレコ導入・運用ルール整備はトリニードカイゴへ
トリニードカイゴでは、デイサービス・通所介護施設の送迎ドライバー管理体制づくりをサポートしています。「ドラレコをどの機種にすべきか」「個人情報保護とのバランスをどう取るか」「運用ルールをどう作るか」といったご相談にも、運行管理者資格と送迎現場の実務経験を踏まえてアドバイスいたします。横浜市を中心に神奈川県内の施設様に対応していますので、お気軽にご相談ください。


