送迎業務の外部委託と自前運営、どちらが良い?令和6年度改定後の選択軸

トリニードカイゴ|介護施設の送迎ドライバー管理

 

デイサービス・通所介護の送迎業務をどう運営するか——「自前のドライバーで運営し続けるか、外部委託に切り替えるか」は、近年とくに多くの施設管理者から相談をいただくテーマです。令和6年度介護報酬改定(2024年)にあわせて送迎の委託・共同送迎の取扱いが明確化され、人材確保の難しさやコスト面の課題と合わせて、運営方法の見直しが進む施設も増えてきました。本記事では、横浜市を中心に介護施設の送迎ドライバー管理コンサルティングを行うトリニードカイゴが、外部委託と自前運営それぞれのメリット・デメリットと、選択時の判断軸を整理します。

 

前提知識|デイサービス送迎の法的扱い

デイサービスの送迎は、介護サービスに付随して行う運送で、送迎の利用の有無によって利用料に差がない(運送に特定した対価を受け取らない)場合は、道路運送法の許可・登録を要しない運送と整理されています(国土交通省「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」令和6年3月1日)。そのため、白ナンバーの自家用車・普通自動車第一種免許のドライバーで運行できます。

 

長らく自前運営が一般的でしたが、厚生労働省・国土交通省は令和6年10月11日の連名通知で、介護サービス事業所の負担軽減や地域の移動手段の確保の観点から、送迎業務の交通事業者(タクシー・バス事業者等)への委託も効果的な方策であると示しています。

 

令和6年度改定で明確化|送迎の委託・共同送迎

通所介護等の送迎業務を第三者へ委託すること自体は、令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)で可能と示されていました。そのうえで、2023年11月27日の介護給付費分科会で送迎の取扱いを明確化する対応案が示され、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(2024年3月15日)の問66・問67で、他事業所の利用者との同乗(共同送迎)や、複数の事業所による共同での委託の取扱いが示されました。整理すると、次のような運営形態が選択肢になります。

 

▶ 外部委託:道路運送法の許可業者に送迎業務を一括委託
▶ 共同送迎:複数の事業所の利用者を同じ車両に乗せる送迎運用
▶ 委託先業者の業務範囲:ドライバー確保・送迎ルート決定・利用者情報管理など、運行業務の包括的な代行

 

共同送迎が認められるのは、①他事業所の職員が自事業所と雇用契約を結び自事業所の職員として送迎を行うケース、②委託契約(共同での委託を含む)に基づき送迎を委託しているケース、のいずれかとされています。事業所間で同乗にかかる条件(費用負担、責任の所在等)を合議のうえ決めていること、送迎範囲が利用者の利便性を損なわない範囲で、かつ各事業所の通常の事業実施地域内であることが条件です。対象は通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・通所リハビリテーション・療養通所介護等です。

 

この明確化は、送迎の運転専任職の人材不足や、より効率的な送迎へのニーズなどを踏まえたもので、送迎体制を見直す際の選択肢を広げるものといえます。詳しくは介護報酬改定と送迎加算の変更点まとめもあわせてご覧ください。

 

自前運営のメリット・デメリット

自前運営のメリット

・利用者の状態・ご家族との関係性を、自施設のスタッフが直接把握できる
・送迎時の利用者観察(顔色・体調・服装等)が施設ケアにそのまま反映できる
・運行スケジュール・ルート変更を内部で柔軟に調整できる
・ドライバーが施設職員として勤務日に他業務(介助補助等)に対応できる

 

自前運営のデメリット

・ドライバーの採用・教育・労務管理の負担
・ドライバーの病欠・退職時の代替手配
・車両維持費(リース・整備・保険)の固定費化
・事故発生時の施設の管理責任が直接問われる
・運行管理の専門知識(点呼・アルコールチェック・健康管理)の運用負荷

 

関連:送迎ドライバーの健康管理と点呼の正しいやり方もご参考ください。

 

外部委託のメリット・デメリット

外部委託のメリット

・ドライバー確保・労務管理の負担を委託先に集約できる
・運行管理者・点呼・アルコールチェック等の専門業務を委託先がカバー
・繁忙期・閑散期の人員調整を契約上で吸収できる
・事故発生時の責任分担を契約で明確化できる
・複数施設での共同送迎により1台あたりのコスト効率向上

 

外部委託のデメリット

・委託料という形で月次の固定的なコストが発生
・ドライバーが施設職員ではないため、利用者観察情報の連携に工夫が必要
・委託先の運行品質・教育水準が施設のサービス品質を左右する
・委託先の経営トラブル時に送迎が止まるリスク
・ルート・スケジュール変更の柔軟性が下がる場合がある

 

どちらを選ぶか|判断の5軸

「自前か委託か」は施設の規模・人材・地域性によって最適解が変わります。判断の主な軸を5つ挙げます。

 

① 施設規模・送迎台数:1〜2台規模なら自前、5台以上なら委託のスケールメリット大
② ドライバー確保の難易度:地域でドライバー人材が枯渇しているなら委託が有利
③ 運行管理者の常勤可否:自前で運行管理体制を組めない場合は委託検討
④ 利用者の状態:医療的ケア・重度の方が多い施設は自前で観察情報を直接管理する方が適していることも
⑤ 共同送迎の余地:近隣に同業施設があり共同送迎を組める地域なら委託のコスト効果大

 

ハイブリッド運用も選択肢に

「全部自前」「全部委託」のどちらかではなく、両方を組み合わせるハイブリッド運用も現実的な選択肢です。たとえば以下のような形が考えられます。

 

・午前中の主要送迎は自前で対応、午後の追加便だけ委託
・固定ルートは自前、変則ルート・スポット利用は委託
・通常時は自前、繁忙期・ドライバー欠勤時は委託でバックアップ
・新規エリア・新拠点は委託で立ち上げ、軌道に乗ってから自前へ移行

 

横浜市内のように、複数の介護事業者・福祉タクシー事業者が広く存在する地域では、こうしたハイブリッド運用の組み立てがしやすい環境にあります。

 

委託契約時に確認すべき項目

外部委託を検討する際、契約時に必ず確認しておきたい項目です。

 

・委託先の許可種別:道路運送法の許可業者であることの確認
・運行管理者の選任状況:適切な運行管理体制が整っているか
・事故対応・賠償保険:万が一の際の補償範囲と責任分担
・ドライバー教育・研修体制:自施設の利用者特性に対応できるか
・料金体系・契約期間:固定費・追加費・解約条件の明確化
・運行記録の共有方法:日次の運行データ・ヒヤリハットの共有手段

 

送迎運営の見直しはトリニードカイゴへ

送迎業務の外部委託・自前運営の判断、両者を組み合わせたハイブリッド運用の設計は、施設規模・人員体制・地域環境を踏まえた個別判断が欠かせません。トリニードカイゴでは、運行管理者資格と送迎ドライバー実務経験を持つコンサルタントが、現状の運営課題から最適な体制づくりまで伴走してご支援します。「自前運営の負担が大きい」「委託先選定で迷っている」といったご相談は、お気軽にお問い合わせください。

 

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