「送迎車の点検って、毎日やらないといけないの?」「何をどこまで確認すればいい?」──デイサービスの現場では、送迎車の日常点検が形骸化しているケースが少なくありません。しかし、日常点検は道路運送車両法第47条の2で定められた法的義務であり、怠った状態で事故が起きれば施設側の責任が大幅に重くなります。
この記事では、運行管理者資格と送迎ドライバー実務経験を持つトリニードカイゴが、送迎車の日常点検で確認すべき項目と、現場で実践できる正しいやり方を解説します。
日常点検は法律で義務づけられている
道路運送車両法第47条の2第1項は、自動車の使用者に対し「自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に」日常点検を行うことを義務づけています。そのうえで同条第2項は、法第48条第1項第1号・第2号に掲げる自動車について「一日一回、その運行の開始前において」点検をしなければならないと定めています。
デイサービスの送迎車では、乗車定員11人以上の車両や、車検証の用途欄が「特種」で登録されている福祉車両がこれに当たり、毎日の運行前点検が義務になります。用途が「乗用」で乗車定員10人以下の送迎車は第1項の「適切な時期に」が適用されますが、利用者を乗せて毎日走る以上、運行前の実施をルールとして決めておくのが安全です。
日常点検や定期点検を実施していないこと自体に直接の罰則は定められていませんが、点検を怠った車両が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態、または適合しない状態にあるときは、国から必要な整備を行うよう命じられることがあります(法第54条)。国土交通省の解説によれば、この整備命令に従わない場合は車両の使用停止命令や50万円以下の罰金の対象となります(法第108条・第109条)。さらに、点検不備の状態で送迎中に事故が発生した場合は、安全配慮義務違反として施設の民事責任も問われます。横浜市内のデイサービスでも、行政の実地指導で「送迎車両の点検記録がない」と指摘されるケースが増えています。
日常点検で確認すべきチェック項目
国土交通省が定める日常点検の項目は15項目ありますが、送迎車で特に重要な項目を実務の観点から整理します。
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送迎車ならではの追加チェック項目
一般車両の日常点検に加えて、デイサービスの送迎車では以下の項目も確認すべきです。
▶ 車いす固定装置の動作確認
車いす対応車両の場合、固定装置(ベルト・金具)の動作確認は必須です。ベルトのたるみ、金具の変形、スロープの動作をチェックしてください。固定装置の不備は、急ブレーキ時に利用者様の転倒・転落につながる重大なリスクです。
▶ ステップ・手すりのぐらつき
利用者様が乗降に使うステップや手すりにぐらつきがないか、手で確認してください。毎日の使用でボルトが緩んでくることがあります。
▶ 車内の清潔さと異臭の有無
感染症対策の観点からも、車内の清掃・消毒は重要です。シートの汚れ、床の砂、異臭がないかを確認し、必要に応じて清掃してから運行を開始してください。
日常点検を形骸化させないための工夫
▶ チェックシートを使う
口頭での「点検した」「大丈夫です」では記録が残りません。点検項目をリスト化したチェックシートを車両ごとに用意し、点検者の氏名・日時・結果を記録する運用にしてください。行政の実地指導でも「記録の有無」が重要なチェックポイントになります。
▶ 点検は「運行前」に行う
「朝礼の後にまとめてやる」「出発直前にざっと見る」ではなく、運行開始前に十分な時間を確保して行うことが大切です。5分あれば基本項目は確認できます。
▶ 異常を見つけたときの対応ルールを決めておく
「タイヤの空気圧が低い」「ブレーキランプが切れている」──異常を発見したとき、ドライバーが自己判断で「まあ大丈夫だろう」と運行してしまうのが最も危険です。異常発見時は管理者に報告し、運行可否を判断するルールを事前に決めておきましょう。
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トリニードカイゴは、運行管理者資格と送迎ドライバー実務経験を持つコンサルタントが、デイサービスの送迎業務をトータルでサポートしています。日常点検の仕組みづくり、チェックシートの作成、ドライバー研修、行政監査への備えまで、施設の現状に合わせた実践的なアドバイスをご提供します。
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