送迎ドライバーの健康管理と点呼の正しいやり方|法的根拠も解説

トリニードカイゴ

「送迎前にドライバーの体調を確認しているが、今のやり方で法的に問題ないか不安」――こうした声は、デイサービスの管理者から非常に多く寄せられます。結論から言うと、送迎車を運用する介護施設には、道路交通法施行規則に基づく点呼とアルコールチェックの実施が義務づけられています。この記事では、点呼で確認すべき項目と正しい手順を、根拠法令とあわせて解説します。

 

なぜ介護施設に「点呼」が必要なのか――法的根拠を押さえる

デイサービスの送迎車は多くの場合、白ナンバー(自家用自動車)で運行されます。白ナンバーの車両を5台以上、または乗車定員11人以上の車両を1台以上使用する事業所は、道路交通法第74条の3に基づき、安全運転管理者を選任しなければなりません。

そして安全運転管理者の業務は道路交通法施行規則第9条の10に定められており、その第5号に「点呼等により、運転者の過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること」と規定されています。

つまり、「点呼は緑ナンバー(運送業)だけの話」ではなく、送迎車を使う介護施設も対象です。安全運転管理者の選任義務に違反した場合は50万円以下の罰金が科される可能性があります(道路交通法第74条の3、令和4年10月施行の改正により厳罰化)。

 

点呼で確認すべき項目と実務のポイント

確認項目① 体調・健康状態

点呼で最も重要なのが、ドライバーが正常に運転できる状態かどうかの確認です。具体的には以下のような点を目視と声かけで確認します。

▶ 顔色・表情:顔色が極端に悪い、目が充血しているなどの異変がないか

▶ 受け答えの様子:声の調子が普段と違う、ぼんやりしている、ろれつが回らないなどの異変がないか

▶ 自己申告:「体調に変わりはありませんか」と声をかけ、睡眠不足・服薬・持病の状態を本人に確認する

高齢のドライバーが多い介護施設では、血圧の変動や持病の悪化が運転に影響するリスクも高いため、日ごろからドライバーの健康状態を把握しておくことが重要です。横浜市内の施設でも、坂道や狭い住宅街を走る場面が多いため、体調不良のまま運転させるリスクは特に大きいといえます。

確認項目② アルコールチェック

2022年4月の道路交通法施行規則改正により、安全運転管理者には運転前後のドライバーの酒気帯びの有無を確認し、記録を1年間保存する義務が課されています(第9条の10第6号)。さらに2023年12月1日からは、アルコール検知器を用いた確認が義務化されました(同条同号・第7号)。

介護施設の送迎は早朝出発のケースが多く、前日の飲酒が残っていないかの確認は欠かせません。アルコール検知器は常時有効に保持する義務があるため、定期的な動作確認も管理者の責任です。

確認項目③ 日常点検の実施状況

点呼では、送迎車の日常点検(タイヤ・ブレーキ・灯火類など)が実施されたかどうかも確認します。車両の不具合を放置したまま送迎に出発すれば、事故の原因になるだけでなく、管理者の責任も問われます。

日常点検の具体的な項目については、こちらの記事で詳しく解説しています。
デイサービス送迎車の日常点検|チェック項目と正しいやり方

 

点呼の正しい手順――「いつ・誰が・どうやるか」

タイミング:運転の前後に実施する

点呼は運転を開始する前と終了した後の2回実施するのが基本です。朝の送迎出発前と帰着後、午後の送迎出発前と帰着後、それぞれで実施しましょう。

実施者:原則は安全運転管理者

点呼の実施は安全運転管理者の業務ですが、不在時には副安全運転管理者や、あらかじめ指名した補助者が代行できます。ただし補助者に任せきりにせず、管理者が実施状況を確認・監督する体制を整えることが大切です。

方法:対面が原則、やむを得ない場合はカメラ等で

点呼は対面で行うのが原則です。施設の外から直接送迎に出るなど対面が難しい場合は、カメラやビデオ通話を活用して顔色・声の調子を確認する方法も認められています(警察庁通達による)。電話のみの確認は、顔色や表情を確認できないため不十分とされる点に注意してください。

 

記録の残し方――何を・どう保存するか

点呼とアルコールチェックの結果は記録し、1年間保存する義務があります。記録すべき項目は以下のとおりです。

▶ 確認者名(安全運転管理者または補助者の氏名)

▶ 運転者名

▶ 使用車両(自動車登録番号など)

▶ 確認の日時

▶ 確認方法(対面/カメラ等)

▶ 酒気帯びの有無

▶ アルコール検知器の使用の有無

▶ 指示事項(必要な指示があった場合)

記録簿の書式は法令で指定されていないため、施設の運用に合わせたフォーマットで構いません。紙の記録簿でもアプリでも、漏れなく記録・保存できる仕組みを整えましょう。

 

送迎ドライバーの健康管理体制を見直すなら、トリニードカイゴへ

「点呼をやっているつもりだが、記録が残っていない」「アルコール検知器を導入したが運用ルールが曖昧」「ドライバーの高齢化で健康リスクが心配」――こうした課題は、送迎現場の実務を知るコンサルタントと一緒に整理するのが近道です。

トリニードカイゴは、運行管理者資格と送迎ドライバー実務経験を持つ専門家が、横浜市を中心に神奈川県内の介護施設をサポートしています。点呼体制の構築から記録フォーマットの作成、ドライバー研修まで、現場に合った仕組みづくりをお手伝いします。

安全運転管理者の選任義務についてはこちらの記事も参考にしてください。
安全運転管理者の選任義務とは?介護施設が知るべき基礎知識

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