デイサービス送迎の人員配置|ドライバーと添乗介助者の役割分担

トリニードカイゴ|介護施設の送迎ドライバー管理

 

「送迎はドライバー1人で回しても大丈夫か」——通所介護の人員基準には、送迎の運転手や添乗者という職種は定められていません。何人で乗るかは、施設が利用者の状態に合わせて決めることになります。ただし、人数を増やしても解決しないルールもあります。たとえば送迎時の居宅内介助は、他の利用者を車内に待たせて行うことは認められないと厚生労働省のQ&Aで示されており、これは添乗者を付けるかどうかではなく、ルートの組み方で対応する話です。この記事では、ドライバーと添乗介助者の役割をどう分け、どんなときに2人体制にするかを、基準と公的資料に沿って整理します。

送迎の人員配置は基準に書いていない=施設の決め方が問われる

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条は、指定通所介護事業所ごとに置くべき従業者として、生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員の4つを挙げ、それぞれの員数を定めています。ここに「送迎の運転手」「添乗員」という区分はありません。

ただし、基準に人数の定めがないことは「何人で乗ってもよい」という意味ではありません。「1人で乗るか2人で乗るか」を、利用者の状態に照らして施設が判断し、説明できる形で決めておくことが大切です。送迎中に事故が起きれば、「なぜその日はドライバー1人だったのか」と、送迎の体制が適切だったかを問われるのは施設です。利用者の状態を見て判断した結果として配置を決め、その理由を送迎計画や手順書に残しておくことが、施設を守ることにもつながります。

なお、送迎業務そのものは、利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務として、事業所の状況に応じて第三者に委託することも可能だと厚生労働省のQ&A(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問67)で示されています。そのうえで、送迎業務を外部に委託している場合でも、後で触れる居宅内介助のように通所介護の提供そのものに当たる部分は、事業所の職員が行う前提で考えてください(上記の基準省令の第101条第2項は、利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務を除き、事業所の従業者によって指定通所介護を提供することを求めています)。

送迎を外部の事業者に委託する場合は、委託の形によっては、委託先に道路運送法上の許可が必要になります。交通事業者への委託については、厚生労働省・国土交通省の通知(令和6年10月11日)が、委託先の許可の区分ごとに委託費用の扱いを整理しています。契約の前に、委託先の許可の状況を確認してください。

2便体制で見落としやすい「事業所に残る人数」

送迎の人員配置を考えるときに、もう1つ見ておきたいのが送迎に出た後、事業所に誰が残るかです。第93条は、介護職員の員数を「当該指定通所介護を提供している時間帯」に勤務している時間数で数えるとし、同条第2項で「指定通所介護の単位ごとに、前項第三号の介護職員を、常時一人以上当該指定通所介護に従事させなければならない」と定めています。小規模なデイサービスである地域密着型通所介護は別の省令(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準=平成18年厚生労働省令第34号)で定められていますが、同省令の第20条第3項に同じ趣旨の定めがあります(利用定員10人以下の事業所では、看護職員又は介護職員を常時1人以上)。

1便で到着した利用者のサービスを先に始め、その間に介護職員が2便の迎えに出る、という運用はよくあります。このとき、サービスがすでに始まっている事業所の中で、基準どおりの人員が確保されているかを確認してください。川崎市の平成27年度集団指導資料でも、1便を先に開始する場合は基準に定められた人員が配置されている必要がある、と注意を促しています(取り扱いは指定権者ごとに確認してください)。送迎表と勤務表を別々に作っていると、この重なりに気づきにくくなります。

送迎時の居宅内介助は「車内で待たせない」が前提

送迎の組み方を大きく左右するのが、送迎時の居宅内介助です。

厚生労働省の留意事項通知(平成12年老企第36号)は、通所介護の所要時間について、「送迎に要する時間は含まれないものであるが、送迎時に実施した居宅内での介助等(着替え、ベッド・車椅子への移乗、戸締まり等)に要する時間は、次のいずれの要件も満たす場合、1日30分以内を限度として、通所介護を行うのに要する時間に含めることができる」としています。要件は、居宅サービス計画と通所介護計画の両方に位置付けたうえで実施すること、そして実施する職員が通知で定める資格等の要件を満たしていることです。資格等の要件は、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員初任者研修修了者(二級課程修了者を含む)・看護職員・機能訓練指導員などのほか、その事業所と、同一法人の他の事業所・医療機関等で利用者に直接サービスを提供してきた勤続年数の合計が3年以上の介護職員も含む形で定められています。

ここで人員配置に直結するのが、平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)の問54です。複数の利用者を乗せて送迎する場合は個別送迎に限られるのか、という問いに対し、厚生労働省は次のように答えています。

個別に送迎する場合のみに限定するものではないが、居宅内介助に要する時間をサービスの提供時間に含めることを認めるものであることから、他の利用者を送迎時に車内に待たせて行うことは認められない。

つまり、ほかの利用者を乗せた車で回りながら居宅内に入って着替えや移乗を手伝い、その間ほかの利用者は車内で待つ——という形は認められていません。理由は、居宅内介助の時間をその利用者のサービス提供時間に含めるからです。添乗介助者を乗せて車内を見守っていても、ほかの利用者が車内で待っていることに変わりはありません。

居宅内介助を計画に位置付けている利用者がいるなら、その利用者を個別に送迎するか、迎えは最初・送りは最後に回して、車内にほかの利用者がいない状態で居宅内介助を行うように、ルートの段階で組んでおく必要があります。

居宅内介助は「必要な人に、計画に基づいて」

同じQ&Aの問52は、通所介護等の居宅内介助について、独居など一人で身の回りの支度ができず介助が必要となる場合など、個別に必要性を判断したうえで居宅サービス計画と個別サービス計画に位置付けて実施するものだとしています。あわせて、訪問介護が行っている送迎前後の介助を、一律に通所介護で対応することを求めているものではない、とも述べています。

現場では、家族やケアマネジャーから「ついでに戸締まりもお願いできないか」と頼まれることがあります。計画に位置付けないまま善意で引き受けると、その時間だけ車内の利用者が待つことになり、上の問54の形に近づきます。頼まれたら、まず計画に位置付けるかどうかをケアマネジャーと相談する、という流れを施設で決めておくと、ドライバーが現場で断りやすくなります。

ドライバー1人で回せる送迎、添乗介助者が要る送迎

居宅内介助はルートで対応するとして、人数そのものを考えるべき場面もあります。次のような利用者が乗る便は、添乗介助者を付けるかどうかを必ず検討してください。

▶ 車いすのまま乗車する利用者がいる
スロープやリフトでの乗降と、車いすの固定に時間と人手がかかります。固定の手順は福祉車両の車いす固定のやり方|タイダウン4点固定の手順と点検にまとめていますが、固定を誰が行い、誰が最終確認するかまで決めておくことが大切です。

▶ 乗降に介助が必要な利用者が同じ便に複数いる
1人を介助している間、ほかの利用者から目が離れます。乗降の順番を工夫しても見守りが途切れる場合は2人体制を検討します。

▶ 走行中の見守りが欠かせない利用者がいる
シートベルトを外してしまう、急に立ち上がろうとする、体調が変わりやすいなど、走行中に誰かがそばにいないと危ない利用者です。運転しながら車内の様子を見続けることはできません。

▶ 乗車時間が長い便・乗車人数が多い便
乗っている時間が長いほど、体調の変化や車内のトラブルに気づく必要が増えます。

逆に、自力で乗り降りでき、走行中も落ち着いて過ごせる利用者だけの便であれば、ドライバー1人で回すことも十分に考えられます。大切なのは、便ごとに乗る利用者を見て決め、利用者の状態が変わったら見直すことです。

ドライバーと添乗介助者の役割分担の決め方

2人で乗っていても、役割があいまいだと「相手がやったと思っていた」が起きます。特に危ないのは、車いすの固定やシートベルトの確認のように、どちらでもできる作業です。次のように分けておくと、現場で迷いません。

▶ ドライバーの役割
運転と車両の安全に責任を持ちます。停車位置の判断、乗降時の周囲(後方から来る自転車やバイク、歩行者)の確認、スロープやリフトの操作、発進前の最終確認です。

▶ 添乗介助者の役割
利用者の身体に触れる介助と見守りを受け持ちます。乗降介助、座席への誘導、走行中の見守り、家族からの申し送りの受け取り、計画に位置付けられた居宅内介助です(居宅内介助を所要時間に含める場合は、前の章の資格等の要件を満たす職員が行います。初任者研修修了者や看護職員なども対象に含まれます)。

▶ 2人で決めておく「最終確認」
車いすの固定とシートベルトは、介助した人が行い、ドライバーが発進前に目で見て確認するといった形で、二重に確かめる手順にしておきます。声に出して確認し合うと、確認漏れが減ります。

▶ 異変があったときの分担
利用者の様子が急に変わったときは、ドライバーが安全な場所に停めて通報と施設への連絡を行い、添乗介助者が利用者のそばにつく、と決めておくと動きが止まりません。急変時の初動はデイサービス送迎中の急変対応|車内での初期対応と119番・連絡体制で詳しく整理しています。

送迎記録に「誰が乗ったか」を残す

役割を決めたら、その日の実際の配置を記録に残します。送迎記録には、運転した職員だけでなく添乗した職員の名前も書く欄を設けておきましょう。居宅内介助を所要時間に含める利用者については、誰が行ったかがそのまま要件の確認になるため、実施した職員と時間もあわせて記録しておくと安心です。記録があれば、事故やトラブルのときに「その日は誰が何をしていたか」を後から説明できます。

ドライバー1人で回す便の最低限のルール

人手の事情で、どうしてもドライバー1人の便が出ることはあります。その場合は、次の点を施設のルールとして決めておいてください。

▶ 1人便に乗せる利用者の条件を決める
自力で乗り降りできる、走行中に見守りがいらない、など「1人便でよい」条件を利用者ごとに判断し、送迎表に書いておきます。

▶ 乗降のときは車から目を離す時間をつくらない
利用者を玄関まで送るときは、残りの利用者を乗せた車から離れる時間が生まれます。利用者を車内に残して車から離れる時間をできるだけつくらないよう、乗降の順番や停車位置をルートの段階で考えておきます。夏場は、エンジンを切った車内に利用者を残すと短時間でも危険です。

▶ 施設へすぐ連絡できるようにする
困ったときに応援を呼べるよう、送迎中に連絡がつく職員と、応援の職員や車両を出す手順を決めておきます。

▶ 利用者の状態が変わったら1人便から外す
「前は1人便で大丈夫だった」利用者も、体調や認知機能の変化で見守りが必要になります。家族や看護職員からの申し送りをきっかけに、便の組み方を見直す流れにしておきます。

判断に迷ったときの確認先

この記事は運営基準と公表資料の一般的な整理です。本記事は指定通所介護(上記の居宅基準)を前提にしています。地域密着型通所介護は平成18年厚生労働省令第34号(従業者の員数は第20条、事業所の従業者による提供は第30条第2項)、認知症対応型通所介護は同省令の第42条以下、通所リハビリテーションは居宅基準の第111条以下で人員などが定められており、条番号や定めの中身が本記事と異なる部分があります。居宅内介助を計画に位置付けるかどうかは担当のケアマネジャーと、人員配置や所要時間の算定の扱い、運営指導での確認事項は事業所の指定を受けている自治体(指定権者)の担当課へ、それぞれご確認ください。

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条・第101条・第111条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第20条・第30条・第42条=いずれもe-Gov法令検索で条文を確認(2026年9月時点)/厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日 老企第36号)=本文の引用部分は令和6年度改正の新旧対照表の改正後の記載で確認。居宅内介助の要件(計画への位置付け・資格等)は平成27年度の改正で加わった記載(平成27年度改正の新旧対照表)で、その後の報酬改定に伴う改正(平成30年度・令和3年度・令和6年度・令和8年度)で変更されていないことを各改正の新旧対照表で確認(2026年9月時点)/厚生労働省「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)」問52・問54(介護保険最新情報vol.454)、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)」問67(介護保険最新情報Vol.1225)=厚生労働省「介護サービス関係Q&A」に掲載の最新のQ&A集で、現在も掲載されていることを確認(2026年9月時点)/厚生労働省・国土交通省「介護サービス事業所・障害福祉サービス事業所の送迎業務の効率化及び地域交通との連携について」(令和6年10月11日 老認発1011第1号ほか)=国土交通省掲載の通知本文で確認(2026年9月時点)/川崎市「通所系サービス共通」(平成27年度 集団指導資料。1便を先に開始する場合の注意として紹介)。本記事では、トリニードカイゴがこれらの内容を要約・編集して紹介しています。制度や運用は改正されることがありますので、実際の対応の前に必ず最新の記載をご確認ください。

トリニードカイゴが、送迎の人員配置と役割分担づくりをご支援します

送迎の人員配置は、基準に答えが書いていないぶん、施設ごとの判断がそのまま安全の差になります。どの便を2人体制にするか、誰が何を確認するか、1人便の条件をどう決めるか——決めて、書いて、見直す仕組みがあるかどうかで、事故のリスクも説明のしやすさも変わります。

トリニードカイゴは、運行管理者資格と送迎ドライバーとしての実務経験を持つコンサルタントが、横浜市を中心に神奈川県内の介護施設の送迎ドライバー管理をご支援しています。便ごとの人員配置や役割分担、送迎記録の見直しについても、施設の状況に合わせてご相談いただけます。

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